父のこと 2
父が高校生になったある日。
身体検査があったそうだ。
父曰く、その日は寝坊した、と。
慌てて学校へ駆けて向かい、到着はしたものの朝から身体検査がありそのまま並ぶ格好に。
そして診察に訪れていた医師が聴診器をあてがいこう言ったそうだ。
「んっ?心臓が変な音するなあ。君は何部だ?運動はやめなさい。」
その言葉をキッカケに野球部を休む事になり、やがて退部したのだとか。
この話をする度に父は「あのヤブ医者は俺が走って来たって言ってるのに聴診器を適当に胸に当てただけで余計な事を言いやがった」と、「あの医者のせいで俺はグレた」とよく話していた。
ただ厳密にはそれをキッカケにやる気をなくしてクラスの不良とつるむ様になり高校を辞めたと述べている。
そしてその数年後に"8000人程の応募の中から50名だけが受かったという日産自動車への入社"話もよく自慢として聞かされた。
祖母から勧められて面接を受けたが、「受かる訳がない」と思っていた父は「野球がやりたいだけ」等とおちゃらけ続け、上記の倍率かは不明だが、しかし入りたい者も沢山居たであろう大企業に入社を果たす。
のだが、こちらは野球部の先輩に腹を立てて砂をかけて目潰ししてから殴りかかったのをキッカケに辞めさせられたそうな。
その時に祖母が上司や偉いさんに涙ながらに土下座をして謝っていたのを父は「婆さんは本当に凄い役者だった」と常々口にしている。
それからの父は、いわゆるチンピラとかヤクザ者の類となる。
兄弟や祖母が懸命に働いて買った家具などを留守の間に忍び込んで持ち去り売っぱらうとか。
本当かどうか僕も話半分で聞いてはいるが、事あるごとに「俺は前科○犯だ」と言っては嬉しそうにしていた。
罪状や当時の警察捜査の具合が想像出来ないが、若い頃は仲間と名古屋や大阪などを転々としながら逃げ回っていたそうな。
だがある時、男女4人で飲酒して車で帰る途中に大事故を起こしたという。
そして1人の女性は顔に深い傷を負ったのを病み入院先から飛び降りたという話を聞かされる。
事故で気が付いた時に見た女性の惨状、そして「俺は悪運が強い」と語る話の数々は未だ未だ尽きないし、嘘か本当かはさて置き、未でもこうして思い出される程のエピソードとなっている。ー
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