馴れ初め
最近母から聞いた話。
所謂、馴れ初めだ。
母が勤めていたクラブに父は何度か飲みに来たそうだ。
毎回指名を受けていたそうだが、席についても殆ど会話を交わす事なく「爪の垢を弄る」かの様な態度に気味の悪さを覚え、来店の度に店長に「付きたくない」と言っていたという。
それが3〜4度目の日だったという。
父から「良い寿司屋を知ってるから行こう」とアフターの誘いを受けたそう。
内心「行きたくない」とは思ったが、周りの声や仕事という面、そして"良い寿司屋"に釣られて渋々父と2人でアフターへ。
すると、そこは高級店というよりはこじんまりとした大衆的なお寿司屋さんだった。
だけど想像と違ったらしい。
それはお寿司の質もだったかもしれないが、それよりも"父の態度"がだったという。
クラブ店内では「気味の悪い」無口な男だった父だが、その店ではまるで別人。
母が言うには「芸人さながら」に身振り手振りと口八丁で"腹を抱えるほど笑った"そうだ。
僕の中の父も「ひょうきんでお喋り」で、いつも「周りには笑顔の溢れた」人だった。ー
その後、父と母は結婚した訳だが、出逢った当初の父は30代そこそこに見えたそうだ。
でも実際は40代半ばのバツイチ。
母の母(僕のおばぁ)の3歳下。
色々と考えさせられたかもしれないが、2人は結ばれた。
母の出身地の宮古島からは兄弟や親戚、沢山の身内や仲間が上京して関東へ働きに来ていた。
父は「アニキ」「お兄さん」と呼ばれ、盆暮れ正月、纏まった休みの度に我が家に皆が集っていた気さえする。
余談ではあるが、馴れ初めの話、後に母に「あれはワザととった態度で作戦だ」と言ったそうだ。
それが事実か定かではないが、僕はそういう「楽しさとダサさ」のある男が大好きだ。
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